「三世の里(みよのさと)」時雨製:ちもと
「ちもと」さんは戦前に東京の日暮里で営業を始め、その後軽井沢へ移り、現在ではのれん分けされたお店が箱根湯本、千葉の市川、都立大学などでそれぞれ独立して和菓子屋を営んでいます。
都立大学のちもとは、上生菓子激戦地区である同駅周辺で 1、2を争う人気店。
ここの上生菓子は派手さとは無縁で、禁欲的で、とても哲学的な深みがあります。
菓銘も凝っていて、名前を聞いただけではお菓子の具体像がつかめないこともしばしば。また、菓銘の中にいろいろな意味が隠されているのも非常に興味深いです。
今日のお菓子の名前「三世」も様々な解釈ができます。
三世(さんぜ)は仏教用語では過去・現在・未来を意味します。
このお菓子の色は黄・緑・黒の三色の世界、つまり実った稲穂の黄色・草木の緑・土の黒を意味し、また、素材も、栗・錦玉・そぼろの三種類が使われています。
親・子・孫の三代で食べてもらいたいという菓子職人さんの願いも込められていると思います。
このお菓子から浮かぶ光景は、こんな感じでしょうか。