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夜光の玉(とらや)

「夜光の玉(やこうのたま)」求肥製:とらや 

小豆つぶ餡を薄い求肥生地で包みまるめ、その表面全体に敷き詰めるようにけしの実をまぶしたお菓子です。 

 

とらやの解説書によると、菓銘の『夜光の玉』とは、暗夜に光を発する不思議な玉(ぎょく)のことで、たぐいまれな宝として、中国の歴史書や伝説によく登場するとのことです。 

 

けしの実のプチプチの食感が心地よく、餡と餅皮のバランスも絶妙でした。 

 

このお菓子はとらやさんでは、明治40年(1907)に初めて創作されたものですが、実は原形となるお菓子が大阪にあります。 

 

大阪堺市の「本家小嶋」さん(創業1532年)と、「小島屋」さん(創業1673年)が製造販売している「芥子餅(けしもち)」です。 

 

こちらは小豆こし餡を求肥で包み、表面にけし粒をまぶした丸い一口菓子です。 

 

 

けしの実は、室町時代にインドよりもたらされたと言われ、江戸時代初期より、大阪、堺、和歌山周辺で盛んに栽培されるようになりました。

 

このけしの香味を生かして考案されたのが芥子餅で、延宝年間(1673〜1681年)に日本で初めて作られたそうです。

 

300年以上の歴史を持つ伝統のお菓子を、中国の伝説の玉に見立て、風流に味わいました。 

 

 

けしの実