2週間に1回、出張で大阪に行きます。その時に必ず寄るのが、松江の老舗和菓子店「彩雲堂(さいうんどう)」さんです 。
JR大阪三越伊勢丹の地下2階に直営店があるのです。
松江は京都・金沢と並び日本有数の菓子処と呼ばれる程、人々の生活とお茶・お菓子が深く結びついている街です。
松江藩第七代藩主、松平治郷(まつだいらはるさと)公は不昧(ふまい)の号で知られる大名茶人。不昧流を興し、茶道具の蒐集や名器の研究を進め「古今名物類聚」を編修するなど、今日の松江の文化に多大な足跡を残しました。
その影響で、松江には多くの老舗和菓子店があるのです。
明治7年創業の「彩雲堂」さんは、「お菓子は文化である」をモットーに、四季折々の自然を写したお菓子を創作しています。
今日は12月の上生菓子を4種類購入しました。
「雪の舞(ゆきのまい)」煉切製:彩雲堂
白と水色に染め分けた煉切を長方形にのし、表面に千筋をつけ小豆こし餡を巻き包みます。さらに、雪輪文様の型を押し、氷餅を散らしたお菓子です。
水色は冬の空、白は降り積もった雪。氷餅は、キラキラ輝きながら舞い降りる雪の結晶。
「冬の訪れ(ふゆのおとずれ)」きんとん製:彩雲堂
薄黄色と淡褐色の交じりきんとんを小豆つぶ餡のまわりに植え付け、氷餅を散らしたお菓子です。
野が雪、霜によって黄枯れてゆく、荒寥とした原野の様子をあらわしています。
「寒椿(かんつばき)」外郎製:彩雲堂
橙色に染めた外郎で白こし餡を包み、手技にて花をかたどり、中央に黄色い筒状のしべを配し、緑の羊羹製の葉を添えたお菓子です。
寒椿は冬椿、早咲き椿ともいわれます。冬のうちに咲く椿の総称で、寒さにもめげず凛々しく咲く姿は茶人好みです。
「たきび」求肥製:彩雲堂
小豆の粒を練り込んだ求肥で白こし餡を包み、その上部中央に、小豆そぼろとひと粒の蜜漬けの大納言、炎に見立てた朱色の煉切を配したお菓子です。
田舎で過ごした子供の頃は、よく焚火をしたものです。あの独特の香りがなつかしい。微妙に変化する炎の色、その炎のゆらめきを見ていると、懐しい人との思い出がきらめくように浮かんできます。
彩雲堂さんは、日本全国あちこちの百貨店に販売所を設けているので、松江まで行かなくても味わうことができますが、一度ゆっくり松江本店を訪問したいと思っています。
彩雲堂さんの包装紙は、かの有名な版画家・棟方志功のデザインです。
棟方志功書題(昭和32年)