· 

紫野(とらや)

「紫野(むらさきの)」きんとん製:とらや

小豆こし餡の周りに、紫一色のそぼろを植え付け、古(いにしえ)の紫野の風情を偲ばせたお菓子です。天保11 年(1840)に初めて創作されました。

 

菓銘となっている「紫野」は洛北七野(らくほくしちの)のひとつです。

 

洛北七野とは、京都市の北方に広がる7つの野の総称で、内野・北野・平野・点野・紫野・蓮台野・上野を指し、京都七野とも単に七野とも呼ばれます。ここは平安時代より天皇や貴族の遊猟地や別荘地として保護されてきた地域です。

 

紫野は『枕草子』の164段「野は〜」から始まる段にも挙げられていますが、現在も大徳寺など歴史ある寺社が多く、また、西陣織の家内工業が盛んな地域としても有名です。