今回は、JR逗子駅前にある「三盛楼(さんせいろう)」さんを訪問しました。
創業50年以上のお店で、看板商品は、明治神宮奉献銘菓や神奈川県指定銘菓にもなっている「浪子最中(なみこもなか)」です。
逗子海岸近くにある高養寺にちなんだごりやく最中。このお寺は、文豪徳富蘆花の名作「不如帰」の舞台になり、その主人公浪子の名前をとって浪子不動とも呼ばれています。
美しい波紋を配した最中種は表に「浪子」、裏に「三盛楼」の文字が入っています。
小豆餡と白餡の二種類がありますが、今回はオーソドックスに小豆餡を選びました。
中は栗入りの小豆こし餡ですが、この餡がとにかく美味しい!ここ近年食べた最中の中で一番おいしいと感じましたね。
原材料は、砂糖、小豆、もち米、栗のみというシンプルな組み合わせにもかかわらず、この独特のコクと旨みはどこから来るものなのか、ほんとうに和菓子の世界は奥が深いですよね。
さてさて、上生菓子ですが、季節ごとに三種類ずつ登場します。種類は多くないですが、少数精鋭、丹念に作られています。今回は、今の季節にピッタリな二趣を選びました。
「桜(さくら)」煉切製:三盛楼
我々の心を魅了して止まない桜が、晴れやかに咲いている姿を写したお菓子です。
ピンク色に染めた煉切で小豆こし餡を包み、手技で桜花をかたどり、黄色いそぼろ製のしべを添えています。
「菜の花(なのはな)」きんとん製:三盛楼
一面に菜の花が咲き競う野辺に白い蝶が舞っている風情を表したお菓子です。
菜の花の葉を表すきんとんは、多少透明感を持たせた緑色の餡を粗めのふるいで、花は黄色の餡を細かめのふるいでこし出して、やや長めに植え付けています。さらに、白い煉切で蝶形を抜き、添えています。中は小豆つぶ餡です。
紫と白の二色にすっきりと色分けされ、可愛らしい千鳥がチャームポイントの包装紙も印象的です。