「清流(せいりゅう)」錦玉製:千種庵
求肥を芯にして、まわりを小倉餡で囲み、渓流沿いの岩場に見立て、細い線状に切った透明な錦玉を二、三筋、土台の両端から垂らすようにのせ、流れ落ちる水を表現したお菓子です。
さらに、上から寒天を流しかけ、岩を越えて溢れ出た水がお皿にまでこぼれ落ちてきているような錯覚にさせられる心憎い演出。
最後に、青カエデを一枚散らして涼しげな渓流のワンシーンが完成です。
大小の滝をつなぎ、いくつもの淵(ふち)や瀞(どろ)によってつくりだされる清流が、深いカエデの森を縫うように流れ下ります。
木立を渡る風に吹かれ、緑のカエデの葉がひとひら舞い落ち、水面(みなも)を漂いながら長い旅に出かける。
そんな光景が目に浮かびます。
この箱庭のような上生菓子を見ているだけで、一服の清涼剤になりますね。